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宮崎 勇典さん
薬学部薬学科卒 Stanford University 博士課程在学中

―現在の所属を教えて下さい。

2009年の秋からStanford University, School of Medicine, Chemical and Systems BiologyのPh.Dコースに在籍しています。Chemical BiologyとSystems Biologyの両分野の教授が集まった学際的な学科です。


 

―留学前はどのような学生生活を送っていましたか?

最終的には薬学科卒なんですが、実は、2年生の時に建築関係の父親や安藤忠雄の影響もあってか、建築学科への進学が一度決まっていたんです。ただ、授業や課題をこなしていく間に何か違うなーと感じ、進学振り分けをもう一度やり直しました。その際単位も取り終えていたので、約半年間ほど自由な時間ができたんです。シベリア鉄道で大陸横断したり、ドイツワールドカップに行ったりと、とにかく旅行をたくさんしていました。正直に言って、当時は1年遅れることに多少なりとも引け目を感じたりしましたが、同時に一番視界が広がったのもこの時期だと思います。それで、有機化学が好きだったことや研究というものをやってみたいという、すごく単純な理由で薬学部にお世話になることにしました。4年生の時には、卒業研究で蛍光プローブの合成等を行っていました。研究室で先生や先輩方から研究の基礎を教えてもらいましたし、研究以外もサッカーや飲み会など非常に楽しい時間を過ごさせて頂きました。

―留学しようと思った動機は何でしたか?

留学というか、自分が進学してみたい大学院がアメリカにあったというだけなんです。これには、小さい時から持っていた色々なものを見たいという思いが根底にあると思います。実際にアメリカの大学に通う友人や先輩方から話を聞いたり、現地に行ってキャンパスや研究室を見学したりするうちに、自然に「ここで学んでみたいなー」と思うようになりました。特に、スタンフォードの教授や学生達の自由な雰囲気に憧れました。そして、天気が良いのも大きな理由です。みんなに笑われますが、かなり本気です(笑)。もちろん東大も素晴らしい先生達や研究設備があるのはわかっていました。はっきり言って、自分が所属していた薬学部に関しては、スタンフォードと比べて断然設備がいいです。でも、博士取得まで考えると、約10年間も同じ東大に通うことになるので、自分はそれならば飽きる前に環境を変えて新しい刺激が欲しかったというのも大きな理由の一つです。あまり知られてなかったりしますが、アメリカでは学部と大学院で大学を変えるのが普通だったりもします。

―留学に必要な準備はどのようなものでしたか?

筆記試験の類ではTOEFL、GREを受けることが必要です。あと、自分は学部4年の夏頃からCV(履歴書)とStatement of Purpose(エッセイ)を作成し始めました。これらは出願前ぎりぎりまで推敲を重ねていました。他にも、興味ある先生をHPでは見つけては突撃メールを送っていました。来年度に大学院生を取るつもりがあるかどうか、こんな研究をしたいがどんな研究ができるかなどを質問していましたね。応募前に、興味がある大学院を見学して、ラボ見学や教授と会ったりもしました。その時に、スタンフォード、MIT、ハーバード、UCバークレーと周り、一番自分に合っていると感じたのがスタンフォードでした。アメリカの大学院は数校に出すのが普通です。自分も12月下旬に9校に出願し、1月から結果の通知が手紙やメールで届き始めました。生物系の学科に応募したスタンフォードとUCバークレーに関しては、現地での面接も3月に行われました。結果的に、スタンフォード・MIT・UCバークレー・シカゴ・テキサスから合格を頂きました。

―大学院ではどのような生活でしょうか?研究、授業両面からお願いいたします。

まずアメリカと日本で大学院の制度に大きく違う点があります。日本での博士課程は修士号を取った後の3年間ですがアメリカでは修士と博士のコースは別物であることが多いです。自分の学科は平均5.5年をかけて博士号を取得しています。最初の2年間は必修の授業があり、うちの学科では学期に二つほど履修します。一つの科目が、週に3回で、毎週レポートやディスカッション用の課題が出されます。雰囲気は教授も冗談をよく言いますし、生徒も20人程度で和気あいあいとしていますが、論文についてのディスカッションをはじめ参加することが強く求められます。特にインド人の積極性に驚かされます。最終課題も双方向で、自分で研究計画を書いて来いというものです。さらに、その際に他の学生の研究計画を批評します。教授も常々言っていますし、研究者として不可欠な研究立案能力を非常に意識した教育になっていると感じています。
研究室についてですが、この夏にようやく配属先が決まりました。というのも、学生はまずは3ヵ月ごとに違う研究室三つに仮所属するローテーションという制度があります。ポスドクの人に付いて研究を行う場合や、自分で実験系を立ち上げる場合もありました。三つの中から一番自分が付きたい先生・雰囲気の合うラボを選び、相手側もOKと言ってくれれば配属先が正式に決定します。
1年間過ごしてみて、なぜスタンフォードやアメリカの大学院が多くの成果を生み出したりしているのかと最近考えたりするのですが、大きな理由の一つは「人」だと思っています。ありきたりの言葉ですが、多様な人材が集まってくるのがアメリカの大学院です。研究資金も人材への投資に使っているのが自分の印象です。例えば、博士課程の学生であれば、大学院生は高い授業料は全額負担してもらった上で給料が支払われ、研究や勉学に専念することができます。さらに、集まった人達が研究室を超えて盛んに交流できるよう意識されています。昼食時に研究者同士でピザを食べながら実験報告をし合う試みや、Happy hourと称して17時くらいから学科全体で頻繁に飲んだりもしています。また、スタンフォードの中だけでなく、世界各地から研究者を呼んでの招待講演などが頻繁に学内で行われており、非常に刺激的です。このような多様な交流の中から成果を生み出す、それがスタンフォードやアメリカ大学院の特徴なのではないかと今は考えています。

 


―街の雰囲気はどのようなものですか?現地でのライフスタイルについて教えて下さい。

スタンフォード辺りは、街の雰囲気は非常によく、アメリカの中でも治安が良い地域です。西海岸で気候が良いこともあるのか、人は明るく優しい人が多い気がします。アジア人コミュニティーも大きいので、食事も中華をはじめ種類がたくさんあり生活には困りません。ただし、日本のように細かく電車が発達していたり、コンビニが徒歩圏内にあったりするわけでないので、車がないと非常に不便です。寮に最初入った時に、喉が乾いて何か飲み物が手に入るところはないかとルームメイトに聞いたら、自転車で20分くらいのところにスーパーがあると言われて愕然としました。その後に彼が車で連れて行ってくれましたが(笑)自分の生活自体は東大にいた時と特別変わりません。研究室に行って、帰ってくるという感じです。ラボの活動時間は東大よりも短く、みんな9時~19時くらいが基本です。土日も基本的に人はいません。みんなメリハリを付けて、休みは休みと割り切っている感じです。勉強以外の時間は、友達と飲みに行ったり、やはり天気がよいのでサッカー、ゴルフやBBQをしたりと楽しんでいます。特に、ゴルフが日本と比較してかなり安いので、積極的に取り組もうとしています(笑)。他にも車で行ける範囲内にあるサンフランシスコや国立公園とかに行って遊んでいます。

―将来のプランを教えてください。

よく質問されることなのですが、卒業後や将来のことは特に決めていません。卒業する数年後に、自分がどうなっているかを想像することが出来ませんし、無理に想像しようともしていません。色々なものを見たいという基本的な欲求は常にありますが、同時にその時にしかできないこと・楽しめることをやろうという姿勢で今まで来ました。そして今は、スタンフォードという環境で生物学を学ぶこと、様々な人達と会うこと、が非常に楽しく刺激的な毎日を過ごさせてもらっています。なので、この時間を大切にしながら自分が面白いと思う方向に進んで行こうと思っています。



―最後に東大生に向けて何かメッセージをお願いいたします。

東大で生活していた頃に関して個人的な後悔があるとしたら、東大には色々な面白いことが転がっているのを終盤になって気づいたことです。皆さんはせっかく在籍しているのですから、東大を出来る限り利用してみてください。
そして、すごく当たり前のことなのですが、自分の人生は自分のものだということです。自分の責任で判断をして、人生を楽しんで欲しいです。その中で、海外大学院に行きたいという気持ちがあれば是非飛び出てみてください。行く理由・行かない理由を挙げはじめたらキリがありません。例えば、海外に行くと将来の仕事が不安かもしれませんが、日本の大企業に行く方がリスクが高いかもしれません。とりあえず興味を持ったら情報集めるとか、一歩進んでみてください。別にいつでも戻ってもいいんですから。

―ありがとうございました!

※海外留学に興味を持たれた方は、宮崎さんの活動している団体であるUT-OSAC、米国大学院学生会のホームページもあわせてご覧下さい。

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東京大学は、イェール大学に日本研究及び日本に関連する人文学・社会科学のラボラトリを開設し、東京大学の教員による講義、シンポジウム、セミナーなどの開催や、イェール大学の研究者と共同研究が展開できる仕組みを整備しています。これにより、アメリカの日本研究に刺激を与えるとともに、東京大学の日本研究者・日本関連の研究にも刺激を与え、東京大学の国際化及び日本研究の普及の一端を担う重要な拠点となることを期待しています。

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